グローバルナビゲーションへ

本文へ

バナーエリアへ

フッターへ



ホーム > 診療科・部門 > 診療科 > 整形外科 > 「人工股関節置換術、CTナビゲーションシステム」の紹介
  • 戻る
  • 進む

「人工股関節置換術、CTナビゲーションシステム」の紹介


人工股関節置換術とは

股関節は、太ももの骨(大腿骨)と骨盤がつながる関節で、歩く・立つ・座るなど、日常の動きに欠かせない関節です。
この股関節が次のような病気で傷んでしまうと、痛みや歩きにくさ、関節の動かしにくさが強くなり、日常生活に支障をきたすようになります。
★変形性股関節症
★特発性大腿骨頭壊死症
★関節リウマチ
★急速破壊型股関節症 など
人工股関節置換術は、これらの病気によって傷んだ股関節を、人工関節(インプラント)で置き換える手術です。この手術によって、痛みが無くなり、歩行や生活動作が大きく改善することが期待できます。
インプラントは、金属(カップ、ステム)・セラミックス(ヘッド)・ポリエチレン(ライナー)などでできており(図1)、摩擦が少なくスムーズに動くよう設計されています。最新の人工股関節は術後20年以上機能することが当たり前の時代になっています。当院で主に使用しているインプラント(エクセターステム)は20年以上たっても、ほとんどの方(約99%)で入れ替えの手術が不要であることが報告されています。その為、手術後にフルタイムで歩き回る仕事を行うことや重労働も必要に応じて許可します。またインプラントの性能が向上し、許容できる股関節の可動域が拡大したことで、あぐらや正座は勿論のこと、しゃがみ込み動作も可能です。

図1 人工股関節インプラントの構成

図1 人工股関節インプラントの構成

左変形性股関節症に対する人工股関節置換術施行例(手術前)

手術前

左変形性股関節症に対する人工股関節置換術施行例(手術後)

手術後

図2.左変形性股関節症に対する人工股関節置換術施行例

当院の特徴:CTナビゲーションシステム

当院では2020年よりCTナビゲーションシステム(図3)を導入しています。
ナビゲーションを併用することで、手術前のCT画像をもとにインプラントの最適な大きさ・角度・位置を正確に計画し(図4)、手術中はリアルタイムで確認しながら安全にインプラントの設置が可能となります。
その結果、人工股関節の合併症のひとつである脱臼の発生率の低減につながります。当院でのナビゲーション導入後の脱臼発生率は0.6%と低率を維持しています。

ナビゲーションシステム

図3.ナビゲーションシステム(図提供:ストライカー社)

ナビゲーションシステム

図4.ナビゲーションシステムによる手術前計画

CTナビゲーションと筋肉温存で“より安全・低侵襲”に

一般的に、後方アプローチは他のアプローチに比べて脱臼率が高いとされてきました。しかし当院では、CTナビゲーションを併用した後方アプローチにより、前方アプローチと同等の**低い脱臼率(0.6%)**を実現しています。
また、2025年からは「低侵襲(短外旋筋群温存)後方アプローチ」を導入しております。股関節周囲の筋肉を可能な限り温存することで、術後の痛みの軽減や早期回復、関節機能の温存を目指しています。
近年、「低侵襲手術」として前方アプローチを採用する施設が国内で増えています。大規模研究では、前方アプローチの脱臼率は0.49〜1.28%と低率であることが報告されています。一方で、オーストラリア人工関節登録レジストリーの解析では、前方アプローチでは早期の大腿骨側合併症(術中骨折や人工関節ゆるみによる再手術)が、後方アプローチと比べて約2.16倍多く、リスクが高いことが明らかになっています。
当院では過去5年間における**手術中および術後早期の大腿骨側骨折は0%**であり、高い安全性を維持しています。骨折は手術後のリハビリに大きく影響するため回避するべき合併症のひとつと考えています。
当院では、CTナビゲーションによる高精度なインプラント設置と、筋肉温存を重視した後方アプローチを組み合わせることで、安全性を確保しながら、患者様一人ひとりにとって負担の少ない人工股関節手術を提供しています。

インプラントの選択と長期成績

人工股関節の耐久性(長期成績)は非常に重要です。当院では、大腿骨のインプラント設置に骨セメント使用するハイブリッド型人工股関節を主に行っています。国内外で長期実績が確認されたエクセターステム(図4)を用いています。ニュージーランド大規模レジストリーでは、ハイブリッド型は若年者・高齢者いずれでも長期成績が良好であると報告されています。大腿骨の形状によっては別のタイプのインプラントを使用する場合もあります。

インプラントの選択と長期成績

図5 エクセターステム(画像提供:ストライカー社)

手術後のリハビリテーションについて

手術翌日よりリハビリを開始します。立位訓練・歩行器歩行から始め、約2週間で杖歩行または杖なし歩行にて退院可能です。ご高齢で独り暮らしの方や体力回復に時間を要する方は、回復期リハビリ病院への転院も可能です。

院内骨バンクについて

当院では院内骨バンクを設置しております。過去に行った人工股関節のゆるみなどが原因で骨の欠損が存在する場合でも同種骨移植を併用することにより人工股関節再置換術を行うことが可能です。

人工股関節置換術合併症について

  1. 感染
    細菌などの病原体により創部およびインプラントの入った股関節内部が汚染される合併症です。手術前の消毒、クリーンルームでの手術、手術前後の抗生物質の投与など感染を予防する対策を行いますが、1%未満と低い確率ですがまれに生じることがある合併症です。感染が起こった場合には再手術による洗浄、抗生物質の投与により治療しますが、状況によっては再手術によりインプラントを抜き取り、感染が治ってから人工関節再置換術を行う場合もあります。当院での過去5年間の発生率は0.4%と低率を維持しています。

  2. 出血
    削った骨の内部や細い血管から出血が生じます。手術中の出血量はおおよそ200~500mlです。輸血が必要でない場合もありますが、当院では貧血のない方に対して万が一に備えて手術約1カ月前に自己血貯血(患者様自身の血液を採取保存)を希望に応じて実施しております。

  3. 脱臼
    一般的には初めて人工股関節置換術を受けた方に発生する確率は約1%とされております。当院ではCTナビゲーションシステムの使用により正確なインプラント設置が可能となり脱臼率は0.6%と低率を維持しています。

  4. 神経損傷
    発生率は1%未満と低い合併症ですが、生じると下肢の痺れ、筋力低下(麻痺)が出現します。生じた場合でも約8割は回復しますが、稀に後遺症となる場合もあります。

  5. 神経損傷
    発生率は1%未満と低い合併症ですが、生じると下肢の痺れ、筋力低下(麻痺)が出現します。生じた場合でも約8割は回復しますが、稀に後遺症となる場合もあります。当院での過去5年間の麻痺発生例は0%を維持しています。

  6. 深部静脈血栓症、肺塞栓症
    人工股関節の手術後には深部静脈血栓症(下肢の静脈に血の塊ができて血管をふさいでしまい、血流が悪くなり、下肢がはれたりすること)が生じやすくなります。この血栓が血流に乗って肺の血管をふさいでしまうのが肺塞栓症です。手術後は血栓発生の予防のために弾性ストッキングや弾性包帯を着用していただきます。

  7. 骨折
    インプラントを設置する際に生じる可能性があります。また手術後に転倒した場合などにも骨折を起こす場合があります。セメントを使用するインプラントを用いることにより発生する可能性はかなり低くなります。当院での過去5年間での手術中および手術後早期の骨折率は0%と良好な成績を維持しています。

  8. インプラントのゆるみ・破損
    長期成績の実績のある人工股関節インプラントでは手術を行った9割以上の方で20年以上耐久可能とされていますが、時間の経過とともにインプラントのゆるみや破損が生じる可能性があります。その場合には再手術が必要となります。手術を行った方は手術後1年以後経過した場合、半年から1年ごとの定期的な外来通院をしていただきX線のチェックを行う必要があります。