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脊椎脊髄病センター


高齢化社会となり、脊椎疾患を抱える患者数は増加傾向にあります。当院では、平成30年6月より脊椎脊髄病の診療に特化した脊椎脊髄病センターを整形外科の中に開設しています。当センターは、センター長の大塚聖視と副センター長の川端哲が中心となって治療にあたっております。
詳細な神経学的診察と画像検査に基づいて、患者さんの症状の原因を適切に診断します。保存的治療(手術以外の治療法)も含めて患者さんと相談の上、治療方針を決めていきます。手術は、安全かつ低侵襲な手技を基本としています。手術中の脊髄モニタリング(神経機能を調べる検査)を行い、脊髄神経への負担を確認することで、手術の安全性を担保しています。また、顕微鏡や内視鏡などを用いた手術を行うことにより、低侵襲手術に取り組んでいます。

脊椎脊髄病

脊椎脊髄の図

脊椎は、7つの頚椎、12この胸椎、5つの腰椎、仙骨(仙椎)、尾骨から成る身体を支える柱です。脊椎の前方には体重を支える椎体があり、その間にクッションの役目をする椎間板があります。その後方に頚椎から仙骨上部までは脊柱管があり、神経(脊髄や馬尾神経)がその(脊柱管)中にあります。
脊髄神経は、いわば生きた電線であり、脳から発せられる指令を伝え、逆に感覚の情報を脳へと返すなどの大変重要な役割を担っています。

肩の痛みがある人の図

足の痛みがある人の図

この脊髄神経及びその枝である神経根がなんらかの原因により圧迫されることで「腰が痛い・首が痛い・手足が痛い・手足がしびれる・手が上手く動かない・歩きにくい・歩くと足がしびれる」などの症状を呈することが多く、当センターではこれらの症状を専門的に診断・治療します。
※図は日本整形外科学会ホームページ、日本脊椎脊髄病学会ホームページより引用

取り扱う主な症状と疾患

腰痛

腰の痛みがある人の図

腰痛は、多くの人が抱えている症状です。腰痛はいろいろなことが原因となります。最も多い原因は、腰椎(腰骨)の一部である椎間板や椎間関節と呼ばれる部位の退行性変化(老化)によって起こるものです。これに不良(悪い)姿勢が重なると腰痛がさらに起こりやすくなります。その他、腰痛の原因となる特別な病気として、腰椎椎間板ヘルニア、脊椎分離症・すべり症、腰部脊柱管狭窄症などがあげられます。また、時には、悪性腫瘍(癌)の転移、化膿性脊椎炎、脊椎カリエス(結核)、外傷(圧迫骨折など)、脊柱後弯症も原因となります。
腰痛の経過は一般的に良好で、1~2週間で痛みは和らぐのが普通です。 しかし、起き上がれないほど激しい痛みがある場合、痛みが長引き快方に向かわない場合、腰痛以外に下肢症状(足の痛み・しびれ感)が出る場合などには特別な病気の可能性があるので注意が必要です。

手足の痛みやしびれ

手足の痛みやしびれがある人の図

手足のしびれ感は脊髄の病気や坐骨神経痛で発生します。脊髄や末梢神経が傷ついておきる現象です。肩こりや頚肩腕症候群、肘の腱鞘炎、下肢の筋肉痛などでも一時的にしびれ感を感じることがありますが、それらは様子を見てもよいでしょう。糖尿病やある種のビタミン欠乏症、遺伝性感覚欠損、閉塞性動脈硬化症(歩行すると足がしびれる)などのしびれ感は内科的治療などが必要です。一方、頚椎症、後縦靱帯骨化症や脊髄腫瘍、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症などでは、脊髄や坐骨神経が圧迫されてしびれ感や感覚障害が発生します。

手足の運動障害

箸や茶わんをうまく持てない人の図

手がしびれて、上手に動かせない、つかめない、箸が使いにくくなった、ボタン掛けがしにくくなった、財布から硬貨を取り出しにくくなった、などの症状は、手指の巧緻運動障害といわれ、頚髄障害の重要な徴候です。また、肩を挙げたり、肘を曲げたりする力が弱くなった、握力が弱くなった、などの筋肉の力が弱くなる症状も、筋力麻痺によるもので脊髄神経障害のひとつです。
足の方では、歩くのがよろけて不安定、階段を下りる時に手すりが必要、つま先立ちができにくくなった、スリッパが抜けやすくなった、などの症状が重要な脊髄障害の徴候です。これらの運動障害・麻痺の主な原因は、脳あるいは背骨の中を通っている脊髄神経、または脊髄から枝分かれしている脊髄神経根の障害で、頚椎症、後縦靭帯骨化症、黄色靭帯骨化症、脊椎腫瘍、脊髄腫瘍、椎間板ヘルニア、腰椎分離症、腰椎すべり症、腰部脊柱管狭窄症などで起こります。

歩行障害

歩くことが障害される病気はいくつかありますが、脊椎が関係するものとしては腰部脊柱管狭窄症が代表的です。じっとしていると症状はありませんが、立ったり歩いたりすると下肢に痛みやしびれ感がでます。腰にある脊椎は腰椎と呼ばれます。この腰椎を通る神経の通り道が狭くなることが原因です。しびれ感や痛みは両方の下肢にでることもあれば片方だけの場合もあります。また下肢の力が抜けたり足のゆびがあがりにくくなるなどの症状がでることがあります。立ち止まってしゃがむと楽になることが特徴的で間欠性跛行(はこう)と呼びます。

歩いていると足に痛みが出るが、立ち止まってしゃがむと楽になる人の図

治療法

保存的治療:手術以外の治療法

  • 内服薬や点滴
    手術を受けるほど症状が重くない場合には、内服や点滴での治療を行います。(近隣のクリニックと病診連携を行い、かかりつけ医での治療を依頼場合もあります。)

  • コルセット

コルセットの絵

  • 神経根ブロック注射
    レントゲン透視下に神経に直接薬剤を注入する治療です。
    手術前に症状の原因を究明するための検査としても行います。

神経ブロック注射をしているところの図

  • 椎間板内酵素注入療法(ヘルニコア)
    椎間板ヘルニアに対する治療

手術

脊椎の手術では、以下の主な2つの手術を頸・胸・腰椎で行います。
  • 除圧術
    障害された神経から圧迫要素を取り除く手術
  • 固定術
    不安定な背骨の不良な姿勢を矯正し、金属製スクリューなどを用いて固定する手術
各部位への到達経路によって
  • 後方法
  • 前方法
  • 側方法 などあります。
当センターでは、各患者さんの状態に応じた手術術式を検討して、オーダーメード手術を実施しています。また、当院では可能な限り低侵襲手術の手技を取り入れて治療を行っています。